幅広い世代の人を魅了するデニム。ファッションにおける代表的な素材であり、季節を問わずおしゃれを楽しめる素材です。実は、広島県東部の福山市は、デニムの日本最大産地。デニム生地生産で国内シェアの7割以上を占める、まさにデニムパラダイスです。その福山市で、地元産デニムを使った小物や雑貨を展開するのが「ROBE DE SETOUCHI」。ちいさな工房内で生まれる、ものづくりの営みが詰まった、デニム小物をご紹介します。
日本屈指の名品デニム、福山デニムに宿す新たな息吹
福山市の北部、閑静な住宅街の中に工房を構える「ROBE DE SETOUCHI」。瀬戸内で作られたものを身に付けるという意味をブランド名に込め、スタートしたのは2017年のこと。
その核になるアイテムとは、福山の主要産業物であるデニム生地。近年、その品質は国内だけでなく海外からも注目を集め、ハイブランドからご指名があるほど。江戸時代より綿花の栽培が奨励され、製織、染色などが盛んだった福山では、日本三大絣がすりの一つ「備後絣」が生まれた土地。現代まで培われた技術を持ち、福山デニムは世界屈指のクオリティを持つ一大ブランドへと躍進しました。
「ROBE DE SETOUCHI」では、その信頼の高い高品質なデニム生地を使い、妥協のない「ものづくり」を進めています。
製品の企画から生産、販売までをたった一人で手掛けるのが、代表の平田真規さんです。前職の勤務先は、なんとブライダルのドレスショップ。デニム製品を手がけるターニングポイントとなったのは、新郎新婦への思いからだったと言います。
「レンタルドレスは、式が終わっても何も残りません。何か手元に残るものをと考えたときに浮かんだのが、福山産のデニムでした。新郎用にデニム蝶ネクタイ、花嫁用にデニムサッシュベルトを作ったのが始まりです。婚礼が終わって持ち帰ってもらい、一生使ってもらえる思い出のアイテムとして喜んでもらえたんです」
結婚式で身に着けると花嫁が幸せになれると言われる「サムシングブルー」、縁を結ぶという意味から「結べるもの」、そして「瀬戸内」で作られたもの。この3つをキーワードに「ROBE DE SETOUCHI」は、デニムが織りなす新しい魅力を伝えています。
いつものスタイルをブラッシュアップ、トレンドのデニムターバン
数あるデニム小物の中でも、女性人気ナンバーワンを誇るのが「2wayデニムターバン」です。色柄違いの3種のターバンは、リピート買い率も高い人気商品。シンプルなファッションでも、一気におしゃれ度を上げられるとして、人気上昇中のヘアアイテムです。
左から、ベーシックなブルー、凹凸感のある梨地生地を使用したNASHIJI、気品漂うペイズリー。デニム生地といっても、色や柄もさまざま。3種類それぞれに、異なるデニム生地を使用し、質感や色の変化を演出。どれも、4~6オンスの薄く柔らかい生地を使用しているため、手触りも抜群。長時間つけてもストレスを感じづらいのも嬉しいポイントです。
購入はこちら↓
https://setouchi-plus.jp/products/robe-de-setouchi-tarban
付属のリボンを取り外せば、シンプルなクロスターバンに。バックはゴム仕様で伸縮性があり、頭にぴったりとフィットします。季節問わず使え、どんなスタイルにも馴染のがデニム。その日のジーンズの色と合わせてワントーンコーデにすれば、旬のデニムオンデニムコーデが完成です。
毎日にも特別な日にも、デニムネクタイで胸元にアクセントを
男性に好評なアイテムが、デニムネクタイ。ビジネスシーンで使うのはもちろん、普段ネクタイを結ばない人でも、特別な一日に着用できるカジュアルさが魅力です。ハンドメイドの風合いとブルーの涼しげな印象で、クラシックな装いを演出します。
あらゆるネクタイを研究し、長さ、太さ、全体バランスなど、自身が納得いくまで、細部にこだわったという平田さん。ゴツゴツとしたデニムの風合いを出すため、用いたのは10オンスの生地。定規で生地に線を引き慎重に裁断、斜め45度の角度で切り抜くことで、伸縮性に優れたねじりのない仕上がりになるのだとか。異なる6つのパーツを縫い合わせ、1本が完成するまで約3時間以上。細かい工夫と心配りが施された、エフォートレスなムードが漂うデニムネクタイは、デイリーに使え長く愛用できる大人の品格が宿っています。
一針一針丁寧に、福山デニムの魅力を存分に生かす
日々、ミシンと向き合う平田さん。開業前、ドレスショップ勤務時代に得た裁縫の知識はあったといいますが、今では工業用のミシンを巧みに扱う熟練職人そのもの。それもそのはず、開業前にデニム工場へ足蹴く通い、基礎から製造過程を学んだとか。
「自分が納得いかないと、何度も糸をほどいてやり直すんです。少しのズレも見逃しません。デニムはシンプルだからこそ、ごまかしがきかないんです」
平田さんのモットーである「一針一針丁寧に」という言葉と共鳴するように、今日も小さな工房にはミシンの音が響きます。デニム=ジーンズという枠にとらわれず、デニムの可能性に新たな価値を見出す「ROBE DE SETOUCHI」は、福山、そして瀬戸内デニムのニュースタンダードです。
「瀬戸内周辺で生産されたもの」を、大きくコンセプトに掲げる「ROBE DE SETOUCHI」。プロダクトに使用するデニム生地の仕入れ先を伺うと、「篠原テキスタイル」「カイハラ」「中国紡績」「山陽染工」と、世界に誇る福山デニムメーカーの名前がずらりと並びます。
福山デニムの魅力は、高い品質はもちろんのこと、色染めや縫製の圧倒的丁寧さ。
その伝統と技術を、丁寧なアプローチで本格的なデニムクラフトに変化させる平田さんの手仕事には、手に取る人の幸せを願う思いが存分に溢れています。
直感的に心も体も喜ぶようなプロダクトには、細部まで行き届いた配慮があります。福山デニムへの徹底的なこだわりやその姿勢こそが、「ROBE DE SETOUCHI」の一番の魅力です。
ジーンズと同じく、使うほどに馴染み、生活そのものが生地に記憶されるシンプルで丈夫なデニム小物。幸せを運んでくれるサムシングブルーは、私たちの生活に寄り添い、気持ちを豊かに満たしてくれます。
TEXT/大須賀あい PHOTO/大須賀あい、藤川隆久