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新規事業開発のエキスパート
共に創る瀬戸内の新しい価値
新規事業開発のエキスパート<br>共に創る瀬戸内の新しい価値

瀬戸内プロジェクトの誕生には、広島県が主催する、小売業ECイノベーション実装支援事業「EC D-EGGS」に見事採択された背景があります。その要ともなるのが、世界を変えたいと果敢に挑戦するスタートアップを支援する、株式会社サムライインキュベートです。広島県とタッグを組み、全体のプログラム設計、採択事業者の選定から事業サポートを担う彼らが、本プロジェクトに可能性や価値を見出したのはなぜでしょうか。同社Director山中良太さんの、瀬戸内に関する思いも伺ってきました。

 

地域ブランド設立で広島活性化への第一歩を

「地域ブランドを作る」。これは瀬戸内プロジェクトが掲げる1つのミッションです。全国ブランドとしてのポジションを確立し、ECサイト「SETOUCHI+」内で展開していきます。山中氏は、この地域ブランド開拓に一目置いたといいます。

「地域の特色を出しつつ、エッジが立った地域ブランドを作るという川原さん(まるか食品株式会社 代表取締役社長)の考えが一番の評価ポイントです。これまで山口から兵庫までの広範なエリアを対象とした瀬戸内ブランドはあるものの、その土地毎の特色を訴求して束ねるような地域ブランドはまだ殆どなく、まさにECイノベーションでチャレンジする価値があると思いました」

実際、地域産物のブランド化は、広島だけでなく、あらゆる自治体でも課題となっている現状があります。エッジが立った地域の特色は「ニッチ」であることが多く、狭いエリアで展開するには、マーケティングコミュニケーションコストがかかりすぎ、地域ブランドがビジネスとして成立しない問題もあると話してくれた山中さん。生産者のパワーや努力だけで全国に周知させるには、きっと限界があるのでしょう。

「狭いエリアの中で、たくさんの人に刺さる商品を生み出すのは大変難しいのです。しかし、ECを活用すれば、ニッチなモノを全国にいるニッチ層に対して訴求する『ワントゥワンマーケティング』の効率化が図れます。瀬戸内プロジェクトでは、ECを利用して地域ブランドの再現性に取り組もうとしている。その点にも新しい価値を感じました。今後、尾道界隈だけでなく、県内の他エリアでも通用する地域ブランドのモデルケースになると、我々は期待を寄せているのです」

 

共通ブランド化がもたらす瀬戸内の未来

地域ブランドの構築に高い壁が立ちはだかる中、広島から全国ブランドとして周知されるモデル作りを目指すのが瀬戸内プロジェクトです。今後参加する事業者には、どんなベネフィットや未来が待っているのでしょうか。

「共通ブランド化することで様々な事業者さんがマーケティング上のアドバンテージを得られるのが肝だと思います。例えば包装パッケージに共通性を持たせると、個別に商品をアピールしてアテンションする必要がなくなります。『このブランド、いつもおしゃれでいいもの出してるよね」と、消費者に商品を手にとってもらい易くなるのです。また、川原さんはSNSを使って情報拡散していくファンコミュニティ作りを企画されています。経済上の利益を得られるプラットフォームを作れた暁には、チャレンジしたいと思った業者さんが簡単に参加でき、ファンからのフィードバックも受けて商品を改良するなど、『顔が見える』ファンと共にブランドや商品を育んでいく機会が得られると考えています」

新型コロナウイルスの影響によって、人々の生活は誰も想像していなかったレベルで大きく変化しました。終息が見えない状況から、小売業のスタイルも変化を余儀なくされています。地元で有名でも、地元以外では全く知らない。宝箱に入ったままの瀬戸内の宝物が、当プロジェクトを通じて、全国に羽ばたく瞬間が訪れることを願っています。

 

陽のパワーが満ちる、瀬戸内の魅力

グローバルに活躍するサムライインキュベートが、昨年11月、竹原市に新拠点を設けるニュースが届きました。その名も「 SAMURAI HOUSE -安芸竹原邸- 」。江戸時代の商家が数多く残る「町並み保存地区」に位置し、地方発スタートアップの創出など、広島ならではの魅力を活かし、課題解決に向けた支援を進めています。新しい拠点を瀬戸内エリアに置くほどの魅力が気になるところです。

 

 

「気候の影響かもしれませんが、陰か陽かに分けると、陽の雰囲気を持つ人が多い気がしています。パワーを感じる方が多いですね。スタートアップには陽の部分が大切なので、あらゆることにチャレンジしやすい環境が整っていると感じています。明るくて穏やかな文化は、非常に魅力的です」

 

美しい海と四季折々の絶景、歴史文化や自然豊かなアクティビティなど、瀬戸内の魅力を挙げるとキリがありません。その他にも、ものづくり精神、海の幸山の幸など、全国的に見ても高い可能性を感じるという山中さん。また、他地域と違い、UJIターンが多いのも広島の特色のようです。

 

 

「広島の人は広島愛が強いですよね。あまり外に関心がないことが、広島の魅力やポテンシャルの拡大を、良くも悪くも阻害している要因なのかなと思います。瀬戸内プロジェクトの業務の一環として、我々はマーケティングの仕組みを作るサポートをしています。多くの方に広島をアピールしていきたいですね」

 

豊富なノウハウでプロジェクトをバックアップ

当たり前にあるものほど、地元の人はその本当の良さに気付かないことがあります。これまで気付かなかった地域の魅力を発見し、地元に活力を与えるために、俯瞰して見てくれる存在は大きいものです。

 

 

「現在、魅力的な事業者さんが入ってこられる座組を組んでいます。地域ブランドには、ブランドに参加する人たちのセレクションも重要です。どういう世界観や価値観を重視するのか。その点を『SETOUCHI+』として理解してもらえるよう提示していきたいと思っています。地域ブランドを作り束ねていく難しさを、ベンチャー企業に理解がある我々からご支援できたらと考えています」

 

凛としたサムライ達が伴走型パートナーとなり、深い分析の目で「今」と「これから」を見つめて動く瀬戸内プロジェクト。世の中を驚かせる地域ブランド作りの継続的ロールモデルは、いったいどんな輝く姿を見せてくれるのでしょう。

 

TEXT/大須賀あい 写真提供/(株)サムライインキュベート

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