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島生まれの革小物に
生のエネルギーを感じて
島生まれの革小物に<br>生のエネルギーを感じて

本革とは、ご存じ動物の皮から作られた革素材です。最もポピュラーなのは牛革ですが、イノシシの革ならでは味わいを生かした製品を生み出す工房が注目を浴びています。場所は、愛媛県今治市に浮かぶ大三島。使うほどに表情が変化し愛着が湧く「Jishac(ジシャク)」のジビエレザープロダクトは、作る人も使う人も、そして未来をもハッピーにしてくれる温もりに溢れています。

 

 

東京から自然豊かな大三島へ、夫婦で営む小さな革工房

昔ながらの民家が立ち並ぶ大三島上浦町の集落を歩いていると、手尺ロゴの看板が突然と現れます。イノシシ皮革を使った製品を制作するレザークラフト工房「Jishac」です。

 

 

工房すぐ隣には、カラフルな革小物がずらりと並ぶギャラリーが併設。財布、カードケース、キーホルダー、ヘアアクセサリーにピアスなど、その豊富なラインナップに心が躍ります。その数、なんと約200点以上!デザインも制作も、たった二人でこなしていると聞いて驚くばかりです。

 

 

そのお二人とは、東京から大三島へ移住した重信夫妻。明るく饒舌な夫の幹広さんの前職は、損害保険会社の営業。落ち着いた雰囲気を放つ瑠依さんは、ギフトデザイン系の会社にデザイナーとして勤めていました。フレンドリーで大らかな夫妻の人柄は、優しい風合いを醸す革アイテムに滲み出ているかのようです。移住の決め手は「家族との時間」。忙しい都会の生活から、穏やかな島暮らしを求め、二人は2013年に大三島へ渡ります。

 

 

地域おこし協力隊として大三島へ着任したお二人は、引っ越しの翌日に上浦支所へ婚姻届けを出したという超アクティブ派。幹広さんは協力隊の活動と並行し「しまなみイノシシ活用隊」の活動にも参加します。

大三島でも、野生鳥獣による被害は深刻そのもの。島の特産である柑橘をはじめ農作物被害額は年間約1000万円にも上るとか。駆除したイノシシを資源にとさまざまな活動が行われる中で、皮の活用に着目したのが幹広さんです。

 

獣害を新たな価値へと転化、手作業から生まれる特別クオリティ

大三島、そしてお隣の伯方島で捕獲されたイノシシの皮を「島シシレザー」と名付け、小さな革工房を立ち上げた重信夫妻。皮の下処理は幹広さんの担当です。イノシシの皮には肉脂が多く、しっかり取り除かないと柔らかな風合いに仕上がらないそう。1頭につき約1時間以上を費やす骨の折れる作業です。さらに塩漬けされた皮は、海外のトップメゾンも利用する東京の鞣し業者「山口産業」へ送られます。天然成分の植物タンニンを抽出し、鞣し剤として使用する「ラセッテー製法」が施された革は、動物皮が持つ本来の持ち味を引き出した極上品です。

 

 

デザインは、美術に造詣が深い瑠依さんが担います。工房にはミシンなどの機械は見当たらず、全工程が手作業です。革に均一に穴をあけ、大三島産の蜜蝋でロウ引きし、一つ一つ丁寧に制作。大量生産の現場ではディテールは簡略化されがちですが、ここでは細心の意匠が込められています。

 

 

SETOUCHI+」で取り扱うのは、「Jishac」の看板ともいえる「o-mi-kan」シリーズのキーホルダーとアロマチャーム。レモン、みかん、はっさく、そしてみかんの花。島の名産品である柑橘がモチーフとなっています。愛くるしい島シシオブジェは、それぞれに異なった表情が。お部屋のインテリアとして、癒しを与えてくれます。

 

 

別注アイテムとして届いたのは、「マルチチョルダーサコッシュ」と「フィンガートング」。実はこちら、「まるか食品」の新商品「ONO TEN」にインスピレーションを受けて作られたもの。

 

 

サコッシュは「ONO TEN」一袋がぴったりおさまるサイズ。そしてフィンガートングは、食べる際に指が汚れないよう特化したものです。もちろん、どちらもお出かけ用バッグとして、チャームとして、普段使いも十分に叶います。「SETOUCHI+」の焼印もポイントに。

 

 

ジビエレザーの本質そのままに、自分だけの特別な一点ものを

イノシシ革製品は、通気性がよく、柔らかくて丈夫だと評判です。摩擦がダイレクトに反映されやすく、特別なお手入れをせずとも、使い続けるごとにツヤが出てくるのだとか。

また、生前に喧嘩して負った傷や捕獲された時の傷があったりと、革の表情はさまざまです。

本来の風合いを残すため、傷などはあえてそのまま生かして仕上げるのがジビエレザーの特徴だと、幹広さんは語ります。

 

 

「ジビエ先進国のヨーロッパでは、野生獣は仕留められる直前まで孤高のものとして捉えられています。仕留めるからには血の一滴までいただくのがルールです。革商品も傷を表に持ってきて、いかにかっこよく見せるかが職人の腕の見せ所。きれいな部分を表に出してきれいなものを作るのは誰にだってできます。そんなジビエレザーの本質やワイルドな素材感を感じとっていただけたら」

 

 

命を無駄にせず、皮を加工し、プロダクトとして世に送り出す「Jishac」。そのブランド名には、自分の尺度という言葉を省略した造語である「自尺」と「磁石」という2つの意味が込められています。何を思い、何を手に取り、何に惹きつけられるか。それも全て自分の尺度に委ねられるのでしょう。

そして、島シシレザーから感じるのは、野山を駆けまわった野生動物のたくましさやパワーです。身に付けていると、自ずとエネルギーが湧いてくるのも、きっと自然の力。傷や経年の色褪せはマイナスじゃない。モノが見せてくれる固有の景色として愛おしみませんか。

 

 購入はこちら↓

https://setouchi-plus.jp/collections/jishac

 

TEXT&PHOTO/大須賀あい

 

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