新進気鋭のクリエイターが集まる尾道から発信するテキスタイルブランド「Hyaku(ヒャク)」が、いま注目を集めています。テキスタイルというと、バッグや洋服などのファッション小物から始まり、ポーチやハンカチまで、私たちが日常的に手に取り使うものです。だからこそ自分の気に入ったデザインを選びたいもの。独創的かつ大胆な色の組み合わせ、日常を晴れやかにしてくれるデザイン表現を生み出す同ブランドの魅力、そして尾道に移住しブランドを立ち上げた廣瀬百子さんに迫ります。
作り手の自由な発想から生まれる尾道作家の発信基地
尾道商店街の中ほどに位置する「おのみちクリエーターズマーケット」。その名の通り、尾道在住、もしくは尾道にゆかりのあるクリエイターが創る、さまざまなアイテムを取り扱っています。
約30名のクリエイターがつくるプロダクトの発信基地ともなるこちらでは、新感覚のクリエイションを、五感の全てで感じられるワクワクする空間が広がっています。
店内には、衣服、雑貨、アクセサリー、絵はがきなど、尾道エリアの作り手による個性的な作品が勢ぞろい。2018年のオープン以来、同店に参画する作家は徐々に増え、あらゆるインスピレーションが得られる場所として益々の進化を遂げています。ここでしか手に入らないアイテムやお土産を求めて、ぶらり尾道を訪れる観光客がひっきりなしに出入りする、尾道で大注目の人気店です。
移住理由は思いつき!尾道で始めたテキスタイルデザイン
同店のオーナーを務めるのは、テキスタイルデザイナーの廣瀬百子さんです。
大阪府出身の廣瀬さんは、2011年に尾道へ移住。その理由を聞いてみると「思いつき!」という、なんとも潔い答えが。尾道を最初に訪れたのは新婚旅行のときだったそうですが、尾道という場所に親戚も知り合いもいません。
「一生に一度、海が見える港町に住んでみたかったんです」
そうして夫とともに、尾道での移住ライフをスタートさせます。
その行動力は、現在の仕事にも十分に発揮されます。
もとは、京都の美術大学の染織学科にて、染めと織りを専攻していた廣瀬さん。小さい頃から、描く創る行為は自身にとって当たり前であったといいます。大阪在住時代に、子育てをしながら、子どもアトリエ教室などを開くなど芸術活動に勤しむ中、ふと気づいたことがあったそうです。
「もし私がデザインした何かを街中で持つ人を見かけたら、ワクワクするかもしれないって思ったんです」
そうして尾道で物件を探し、現在の場所を発見。1人で担うには広すぎる大きさだったため、知り合いの作家に声をかけ、3名の作品から「おのみちクリエーターズマーケット」をスタートします。
モノを販売するだけでなく、地元作家が自身の作品を発信する場所ともなっている「おのみちクリエーターズマーケット」。
「作家さんの中には、創作活動一筋で生計を立てている人もいますが、主婦の方、公務員、造船業で働く人など、皆さんの職業はさまざまなんです。でもひとつ共通するのは、物を作って売って生きていきたいという志を持った人たちです。そんな人たちを応援したいと思っています」
壁にずらりと並ぶのは、複数の作家が手がける絵はがきの数々。店内には、購入したはがきに文を書くスペースも用意され、切手も販売されています。まさに旅する街、尾道ならではのアイデアです。
「はがきの売り上げだけで、生活はできません。でも、自分の書いたはがきが1枚2枚でも売れると、作家さんにとって絵を描き続けるモチベーションになると思うんです」
若いクリエイターが、型にはまらない芸術活動をし、多様なカルチャーが集う街として賑わいをみせる尾道。
「尾道じゃなかったら、おそらくこの店を始められていないし、自身のテキスタイルの仕事もできていなかったなと思いますね」
廣瀬さんが好奇心を持ち、時に迷いながらも辿ってきた行動や時間を経て積み重ねてきた創作活動が、「おのみちクリエーターズマーケット」を通し、今後どんなクリエイターの作品が発信されていくのか期待が高まります。
使う人の装いにアクセントとユーモアをもたらす帆布バッグ
店内でひと際存在感を放っているのが、廣瀬さんが手がけるテキスタイルブランド「Hyaku(ヒャク)」のプロダクトです。
廣瀬さんの名前である百子の「百」から名付けられたブランドは、目が覚めるようなカラフルな配色と、まるでアートのような繊細なモチーフが特徴的。「いつもをハレの日に」をコンセプトに、毎日にパワーを与えてくれるようなさまざまな色柄のバッグや小物を展開しています。
「SETOUCHI+」で取り扱うのは、柄と型違いの帆布バッグ8種類です。どれも丈夫な8号帆布を用い、熟練の帆布職人が丁寧に縫製を手掛けています。特にバッグ類は、店舗やポップアップストアで絶大な支持を得る人気商品。売り切れると再生産がほぼ叶わない、入手困難なアイテムです。
デザインはすべて廣瀬さんによる手描きです。古くよりテキスタイルのモチーフとして扱われてきた花や蝶、リボンなど、ひとつひとつを描き、それをレイヤードすることで一枚のテキスタイルを完成させていきます。
こちらは、実際の原画。上質な半紙に自作の竹ペンで描くのが廣瀬さんの流儀です。
それでは、「SETOUCHI+」が厳選した、ひとつひとつの柄とカラー、バッグのタイプを、紹介していきましょう。
深いネイビーに、柄の異なる小さな赤いリボンが敷き詰められた「ミニリボン」のビッグトート。ブランドきっての、不動の人気商品です。
A4のファイルがすっぽりおさまる大き目サイズ。マチも広く荷物が多い日にも安心です。内側にはポケットが3個ついており、小物類も迷子にならない工夫が施されています。
<ビッグリボン>
大きいリボンが目を惹く「ビッグリボン」は、普段使いに最適なバケツトートを用意。日常で持ち歩く、財布やポーチ、スマホ、iPadなどがすっぽり収まる便利なサイズ感です。
片側サイドに配されたビッグリボンは、普段のコーデを愛らしいスタイリングへとクラスアップさせてくれます。
<ナスカ>
地上絵をモチーフとして描かれた幾何学的な柄がプリントされた「ナスカ」。シックなグレーとホワイトは、どんなスタイルにもマッチします。
こちらは、バケツトートとサコッシュの2種類を用意。両手が開くサコッシュは、ちょっとしたお出かけや旅のおともにもおすすめのサイズ感。できるだけコンパクトに荷物を持ち運びたいときに活躍してくれます。
<黄色三角>
ビビッドなスカイブルーにイエローの線が描かれた、黄色三角。気分が上がるようなカラーのバッグは、コーディネートの主役として是非取り入れたいアイテムです。
こちらはビッグトート、バケツトートの2種類を用意しています。
<ミントフラワー>
優しいミント調のブルーに、ピンク色のボタニカル調の柄が施されたミントフラワー。ハッピーオーラ満載なカラーは、モノトーンでまとめがちな冬のスタイリングにぴったりです。
同じくビッグトートとバケツトートの2種類をセレクトしました。
色鮮やかに、明るく、バッグとともに心も元気に
「Hyaku」のバッグは、ただ独特で斬新というデザインだけに収まりません。
「ある日お客さんから『私はずっと家に閉じこもっていたんだけど、このバックを見て、私も外に出かけて人生楽しんでもいいんだって思えた』って言っていただいたのです。私が好きに描いて好きに始めた仕事ですが、バッグを通して、その人それぞれのストーリーに出会えるのがすごく嬉しいんです」
パワフルでポジティブムード満載の廣瀬さんから語られるのは、お客さんとバッグが繋ぐ、さまざまな物語です。
「ちょっと気分が上向いたり、ワクワクしたり、柄物のバッグの魅力を是非味わってもらえたら。カラフルなバッグを持って、女性に人生を謳歌してもらいたいんです」
毎日使いたいと思う遊び心のあるデザイン。耐摩耗性に優れた丈夫な帆布。持つだけで気分が上がる、大胆でハッピーなカラーアイテムにチャレンジしてみませんか?
気持ちが前向きになる「Hyaku」のバッグで、明日もきっと、ずっといい日。
TEXT&PHOTO/大須賀あい
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明るく、力強い強烈な個性の柄が目を引く「Hyaku」。色の組み合わせが独特で、描くモチーフもプリミティブな蝶や草木など、ショップに入ればそこはまるでギャラリーのよう。
オーナーの廣瀬さんが「女性が元気になるモチーフ」をコンセプトで制作していると聞き、思わず「確かに、すごく元気になります!」と返答したのを覚えています。
バッグは、手にした時のずっしりした存在感ときっちりとした縫製、裏表のどちらにも帆布が使用され、専門の職人の手作りであることから、クオリティの高さが伺えます。
決して安い価格ではありませんが、実際に使ってみると、気持ちも華やぎ、改まったお出かけにもぴったり。お値段以上だと確信しました。
このようなおしゃれなブランドが尾道から発信されることを誇りに思います。そして、世界に通用するブランドだと確信しています!
「SETOUCHI+」バイヤー 村上直美