ジャムに合わせるのは、やっぱりおいしいパンがいい。7月に発売を開始した「レモン谷のレモンマーマレード」にぴったり合うパンを求め向かったのは、三原市にお店を構える人気ベーカリー「ムカイ製パン」。大のパン好きというマーマレードのスペシャリスト「cosakuü(コサクウ)」代表・上杉さんに、マーマレードをよりおいしくいただくためのおすすめパンを教えてもらいました。
スペインで魅せられ日本で再現、三原の海辺のパン屋さん
広島県三原市、瀬戸内海を身近に感じられる須波エリア。海を臨む国道沿いに立つのが、2017年にオープンした「ムカイ製パン」です。地元の人はもちろん、ドライブがてらに遠方から訪れるファンもたくさん。取材時もお店を訪ねる人が後を絶ちません。
店内に並ぶのは、食パン、菓子パン、総菜パン、ハード系など、老若男女が満足できる多彩なパンの数々。「日々の食事と一緒に気軽に食べてもらいたい」という、店主・向井裕二さんの思いが、棚一面にぎっしりと詰まっています。「ムカイ製パン」のこだわりは、国産小麦を使用し、自家製酵母の力と味わいを生かした、できる限り添加物に頼らないパン作り。自家栽培の野菜や、三原市や尾道市産の素材を用いたパンも好評です。
過去、エンジニアとして働いていた向井さん。1年間のうち、300日以上が出張という多忙な日々の中、海外出張先のスペインで出会ったパン文化、そしてパンそのもののおいしさに惹かれたといいます。帰国後、そんなパンを日本でも日常的に楽しめたらと、サラリーマンからパン職人に転職。三次市の有名パン屋さんで10年間研磨を積み、故郷の三原市須波に、念願であった自店を構えました。
仕込みからパンを焼くまで、全て1人でこなす向井さん。
「自分が焼くパンに責任をもって、自分の手の届く範囲で、しっかり丁寧にパンを作りたいんです」
そんな力強い言葉から感じるのは、ひたすらパンを愛し、パンを学び、パンを育ててきた向井さんの人生。香り高く味わい深いパンを生み出す心意気が、1つ1つのパンに宿っています。
パンもジャムも、素材を大事に、丁寧に
「ムカイ製パン」は、コサクウのジャムを実店舗で購入できる数少ないお店の1つです。ジャム専用の棚には、丁寧な手書きポップとともにコサクウのジャムが並んでいます。
「コサクウさんのジャムは、綺麗でとてもおいしい。食材を大切にし、丁寧に作られているのが伝わるジャムです」と向井さん。マーマレード系のジャムを初めて口にしたときは「これがマーマレードなのか?!」と大きな衝撃を受けたとか。
定期的にジャムを届けるため「ムカイ製パン」を訪れるコサクウの上杉さんも、向井さんがつくるパンの大ファンだといいます。「素材へのこだわりはもちろん、パンのバリエが多く、ここに来るといつもワクワクするんです」
日常に小さな幸せを運んできてくれるパン、そしてジャム。瀬戸内の恵みを凝縮したスペシャルなマーマレードのとっておきの相棒を、上杉さんにセレクトしてもらいましょう。
マーマレードに合わせたいパンと、プチ食べ方テクニック
<クロワッサン>
まずは、折り重なった層が美しいクロワッサン。向井さんが修業時代に初めて担当したという、思い出深いパンです。表面はパリッと香ばしく、中は一層一層が軽すぎず、もっちりとした引きを感じます。レモンのさっぱり感が、しっかりとバターを感じるクロワッサンにぴったり。噛みしめるたびに香ばしく、マーマレードの爽やかな酸味と甘味が、バターのコクと合わさります。
<ノアレザン>
ノアレザンとは、ぶどうとクルミとつかったパンのこと。「ムカイ製パン」では、毎週木曜日のみ登場します。ゴロゴロと香ばしいくるみとジューシーなレーズンがたっぷり練り込まれ、どっしりとした食べ応えがあります。「生地の酸味とレーズンの甘みが、レモンのマーマレードによく合う」と上杉さん。フライパンで片面だけ軽く焼いて、パリッ&フワッの食感を楽しむのもおすすめです。
<お米食パン>
新潟県産の米粉100%(小麦由来のグルテン入り)で仕込んだ、もっちり食感が特徴のパン。「個人的に、このパンが一番好きなんです」と上杉さん。フワフワとした弾力感、お米由来の甘み、何よりモチモチとした感触は、毎日の白いごはんのように身近な存在として感じられます。どのジャムにも合う万能さもポイント。トースターでカリッと表面を焼いて、バターをたっぷり、そして最後にレモンマーマレードと一緒にいただいて。
実際に「レモン谷のレモンマーマレード」を口にした向井さんは、パン職人の視点から話します。
「角食パンのような、少し甘みのあるパンはもちろん、バゲットやカンパーニュ等のハード系のパンにもよくあうと思います。バゲットにクリームチーズと一緒にのせて食べると、無限にバゲットが食べられるおいしさでした。ジャムにオリーブオイルや塩、お酢と混ぜて、ドレッシングにしても最高です」
あらゆる食べ方で楽しめる「レモン谷のレモンマーマレード」。パンの種類、添えるトッピング、さまざまな角度から、自分好みの味を見つけられるのも魅力です。
朝食の時間、トースターから出したそのパンの香りに思わず笑みがこぼれてしまうことがあります。ちょっぴり贅沢なお気に入りのジャムをのせ、アツアツを手で持ちながらパクッと頬張るあの瞬間に感じるのは、小さな幸せそのものです。
国産レモンの宝庫が生んだ、キラキラのレモンジャムと瀬戸内のパン。この夏、広島へのパン旅もいいかもしれません。もちろん、あなたの街のパン屋さんでも「レモン谷のマーマレード」にぴったりのパン、見つけてみてください。
TEXT&PHOTO/大須賀あい